神統記──ギリシアの天地創造

まず原初にカオスが生じた さてつぎに

胸幅広い大地(ガイア) 雪を戴くオリュンポスの頂きに

宮居する八百万の神々の常久に揺ぎない御座なる大地 と

路広の大地の奥底にある曖々たるタルタロス

さらに不死の神々のうちでも並びなく美しいエロスが生じたもうた。

(略)

さて大地(ガイア)は まずはじめに彼女自身と同じ大きさの

星散乱える天(ウラノス)を生んだ 天が彼女をすっかり覆いつくし

幸う神々の 常久に揺ぎない御座となるようにと。

(ヘシオドス,廣川洋一訳,『神統記』,岩波文庫)

※カオス 混沌と訳されるが,元来は「裂け目」の意味だったという。(内山勝利,『哲学の歴史 第1巻 哲学誕生』,中央公論社 P57)

※タルタロス 奈落,冥府。地獄のイメージにつながる。

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