[白文]於是子路欲燔臺。蕢聵懼,乃下石乞・壺黶攻子路。擊斷子路之纓。子路曰「君子死而冠不免」。遂結纓而死。
[訓読]ここにおいて子路,臺(だい)を燔(や)かんと欲す。
蕢聵(かいかい)懼(おそ)れ,すなわち石乞(せききつ)、壺黶(こえん)を下して,子路を攻む。
擊ちて,子路の纓(えい)を斷つ。
子路曰く,「君子は死すとも冠を免(ぬ)がず」。
遂に纓を結びて死す。
[口語訳]
子路は蕢聵の上っていた台に火を放とうとした。
そこで,蕢聵は石乞、壺黶に命じて,子路を攻撃させ,子路の冠のひもを切った。
子路は「君子は死んでも冠は脱がない」と言って,ひもを結び直してから死んだ。
『史記』仲尼弟子列伝